「人との出会いが、火をつける瞬間になる」──萩野社長が語る、信頼と挑戦の経営哲学
みなさんこんにちは!
今回は、特殊銅合金材料の分野で世界トップクラスの技術を誇る「大和合金株式会社」の萩野社長にお話を伺いました。
前半では、幼少期からの経験や事業承継のきっかけ、そして経営者としての原点に迫ります。
後半では、リーマンショックやコロナ禍を乗り越えてきた組織改革や、社員との関係づくり、そして未来へのビジョンについて語っていただきました。
「人と人とのつながり」への深い信念が伝わる内容を、ぜひ動画でもご覧ください!
目次
萩野社長のプロフィール
萩野 源次郎(はぎの げんじろう)
1968年生まれ。上智大学大学院 理工学研究科を修了後、花王株式会社にて勤務。
1999年、大和合金株式会社に入社し、2012年に3代目代表取締役社長に就任。
銅をベースにクロムやジルコニウムなどを組み合わせた「特殊銅合金材料」の製造を通じ、鉄道・航空機・半導体など多様な産業を支えています。
「ニッチな業界で世界No.1企業になる」を掲げ、国際核融合実験炉 ITER計画に基づく、装置の部品供給など、幅広い事業を展開。
社長就任後は、人材の多様性を尊重しながら、社員が自主的に学び、挑戦できる環境づくりを推進しています。
インタビューで見えた萩野社長の経営哲学
経営者を志したきっかけ
萩野社長が経営を意識したのは、幼少期から自然と会社に触れていたことが原点でした。
小さい頃から父に連れられて会社のイベントに参加し、「自分もいずれ関わるのかもしれない」とぼんやり感じていたといいます。
しかし、当初は兄が家業を継ぐと思い、自身が入る必要はないと考えていたそうです。
転機となったのは、兄が建築デザインの道へ進み、家業から離れたことでした。
理工系の分野を学んでいた萩野社長は、会社の事業にも通じる部分があり、自然な流れで家業へ戻ることを決めたといいます。
経営者としての挑戦と組織改革
社長に就任した萩野社長が重視したのは、「社内の壁をなくすこと」でした。
部署や職位、さらには国籍の違いによって、見えない溝があると感じていたといいます 。
そこで萩野社長は、社員が自由に意見を交わす場として「勉強会」を始めました。もともとは技術の継承を目的としていたそうですが、回を重ねるうちに、仕事上の課題だけでなく、会社生活や人間関係についても意見が交わされるようになったそうです。
また、「答える側も勉強になっていると思う」と萩野社長は語ります。
質問に対して一人で答えるのではなく、本来関わるべき社員にも検討させ、意見を文字にして共有するなど、互いに学び合う機会になっているそうです。
また、社員同士の交流を促すために、「MY CAFE」を設け、部署を越えて語り合える空間をつくりました。
さらに、社内のモニターに誕生日を掲示するなど、温かいつながりを生み出す工夫を続けています。
現在の事業と未来への展望
大和合金株式会社は、銅にさまざまな金属を加えた特殊銅合金材料を開発し、強度と熱伝導性を兼ね備えた素材を提供しています。
その用途は、半導体を製造する際に使われる消耗部品や航空機のランディングギアの軸受け部品など、表に出ることは少ないものの、産業の安全性や性能を支える重要な役割を担っています。
萩野社長は、「私たちの材料は、皆さんの生活の“縁の下”で力を発揮しています」と語ります。
2008年のリーマンショックでは、各業界の需要が落ち込み、大きな影響を受けたといいます。
また、コロナ禍には銅の抗菌性に着目し、社員のアイデアから「にこにこグリップ」というタッチレスツールが生まれました。
電車のつり革を直接つかまずに使えるこの製品は、日常の不安を和らげたいという思いから開発・販売されたそうです。
危機を機会に変える柔軟な発想と実行力が、大和合金株式会社の強みです。
萩野社長は、「うちは“大家族主義”を大切にしています。社員同士が支え合える環境をつくりたい」と語り、今後も社会を支える素材づくりに力を注いでいく考えを示しています。
若者へのメッセージ
萩野社長が若者に伝えたいのは、「人とのつながりを大切にすること」です。
「友達が困っている時や、久しぶりに会える時。そんな時に、どちらを優先するかという選択を間違えないでほしい」と語ります。
友達づくりはお金では買えないものであり、長く信頼し合える関係こそが人生の財産になるといいます。
また、萩野社長はこれまでに多くの海外学生をホームステイとして受け入れてきました。
「助けてあげているつもりが、逆に心を豊かにしてもらっていた」と振り返り、人との関わりが自分を成長させることを実感したそうです。
そして最後に、「やりたいことがわからなくても、人との出会いを大切にすれば、きっと火がつく瞬間がある」と学生たちに温かいエールを送りました。
まとめ
萩野社長の経営には、立場や肩書きを超えて、壁をなくすことを大切にする姿勢が貫かれています。
リーマンショックやコロナなどの困難な時代を乗り越えられたのは、社員を信頼し、率直にコミュニケーションを重ねてきたからだといいます。
「鎧を脱いで、裸で付き合える関係をつくる」――その言葉には、人との距離を縮め、つながりを育てていこうとする想いが込められています。
話すことを恐れず、一歩踏み出すことの大切さを、萩野社長の姿から感じることができました。
ぜひ、動画でその言葉の温かさに触れてみてください。
インタビュー動画
前半動画
後半動画
番外編
今回、社員のバタツンさんにもインタビューを行いました。
「新しい挑戦を後押ししてくれる会社です」と語るその言葉からは、萩野社長が大切にしている“人とのつながり”や“対話を通じて前向きさを引き出す姿勢”が、現場にも根づいていることが伝わってきました。
ぜひ、動画でもそのリアルな声をご覧ください。
最後に
インタビューを通して印象的だったのは、萩野社長の“人とのつながり”に対する深い想いでした。
友人や仲間を大切にすること、そして人と関わる中で自分も成長できるという言葉には、温かな人間観が感じられます。
「導火線に火をつけてもらっていないだけで、誰でも前向きになれる素質があると思う」という言葉も、その優しさを象徴していました。
人を信じ、関わり合いながら前へ進む――そんな生き方を体現する萩野社長の姿に、勇気をもらいました。
萩野社長、貴重なお話をありがとうございました!
大和合金株式会社の詳細についてはこちら!
↓ ↓ ↓
会社概要
会社名:大和合金株式会社
所在地:東京都板橋区前野町2-46-2
代表者:萩野 源次郎
創業:1953年4月
事業内容:銅および銅合金を中心とした特殊合金材料の製造・販売
URL:https://yamatogokin.org/jhp/
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