「やってみないと分からない」ヘアカラーの技術と事業承継に挑む|株式会社スタッフス・白木孝明社長
「やってみないと分からないのです」
そう語るのは、愛知県一宮市でヘアカラーチャートの製造を手がける株式会社スタッフスの白木孝明社長です。
狙った色を人の技術で再現するものづくりへのこだわり、父から事業を引き継いだ際の危機感、海外経験を通じて広がった視野。
今回のインタビューでは、変化する時代に向き合う白木社長の経営哲学と、将来の選択に迷う学生に向けたメッセージを伺いました。
目次
インタビュー動画
白木社長のプロフィール
白木 孝明(しらき たかあき)
株式会社スタッフスの代表取締役社長。大学時代から美容業界の仕事に触れており、初めて海外へ渡ったのは、日本の美容師がマイアミで開催するヘアショーに同行したときでした。
その後、海外の提携先との関係を深めるためにフランスへ渡り、語学学校に通いながら現地での生活を経験しました。こうした海外経験を通じて、日本では当たり前とされることが海外では必ずしもそうではないと気づき、視野が広がったと語ります。
先代である父から経営を引き継ぐ際には、社会環境の変化に危機感を抱きながら、無我夢中で取り組んでいたと振り返ります。
現在は、社員と一緒になって会社を盛り立てていく経営を目指しています。
インタビューで見えた白木社長の経営哲学
事業の歴史|染色業からヘアカラーチャート製造へ。事業転換のきっかけ
株式会社スタッフスの事業の原点は、尾張地方の織物産業にあります。
もともとは、織物の町として知られる尾州で糸の染色事業を行っていました。しかし、1960年代から1970年代にかけて染色事業が下火になり、それまで培ってきた技術を別の分野に生かせないかと考えるようになったといいます。
そこで、縁があって始まったのが、ヘアカラーのサンプル事業でした。
当時はまだヘアカラーブームが訪れる前で、国内では海外から輸入した毛束サンプルが使われていました。そうした中、日本国内でヘアカラーのサンプルを製造する事業を始めたと白木社長は説明します。
現在では、美容室に置かれているヘアカラーチャートや、ドラッグストア、ホームセンターに並ぶヘアカラー商品の色見本などを手がけています。
白木社長によると、国内のヘアカラーチャートのほとんどを同社が製造しており、この分野に特化した国内唯一の専業メーカーだといいます。
染色事業から始まった技術が、現在のヘアカラーサンプル事業へとつながっています。
技術へのこだわり|何万色ものオーダーメイドを支える染色技術と色づくりの難しさ
スタッフスが手がけるヘアカラーチャートは、一色一色がオーダーメイドです。
白木社長は、これまでに何万色、何十万色もの色を扱ってきたと語ります。
その中で特に難しいのが、顧客の希望する色を正確に再現することです。
「機械上の数字どおりには染まってこないので」
色づくりの難しさについて、白木社長はそう説明します。
具体的には、顧客がヤクやヤギなどの動物毛、あるいは人毛を染めた色見本をスタッフスが預かり、その色に近づけるようナイロン毛を染色していきます。
元の色見本と実際に染色するナイロン毛は素材が異なるため、目的の色を再現するには人の技術が求められます。
また、預かった色見本が退色しないように保管することも大切です。
完成したサンプルは、一度の提案で決まる場合もあれば、何度も調整を重ねる場合もあるといいます。特に明るい色や、紫、ピンク、赤系の色は難しいそうです。
こうした色の再現性が評価され、注文につながっているといいます。
そして、顧客からの信頼を得るために大切にしているのが、常に顧客の目線で仕事をすることです。
「まず できないとは言わない」
「それでいて正直でいる」
白木社長が語ったこの二つの言葉からは、顧客の要望と誠実に向き合おうとする仕事への姿勢が伝わってきます。
海外経験|マイアミ・フランスでの経験から広がった視野と仕事への考え方
白木社長が初めて海外へ渡ったのは、美容業界の仕事がきっかけでした。
当時、日本の美容師が海外でヘアショーを行う機会があり、会社の先輩からマイアミでのショーに同行するよう言われたといいます。
その後、海外の提携先とより深い関係を築くことを見越して、フランスへ渡ることになりました。
フランスでは語学学校に通い、ブラジルやアルゼンチン、ドイツ、ベルギー、イタリアなど、さまざまな国から訪れた学生たちと接しました。
フランス語と近い言語を話す学生たちが言葉を覚えていく中、白木社長は、言葉を身につけるには現地で生活することが一番だと考え、日本人同士で固まらずに過ごしていたそうです。
海外での経験について、白木社長は視野が広がったと振り返ります。
日本で普通だと思っていることが、海外では普通ではないこともある。海外へ行くことで、逆に日本がどのような状況にあるのかが見えてくると語りました。
こうした経験を踏まえ、新規事業への取り組みについても、まずはやってみようという考え方を大切にしています。
新たな取り組みを国内で試し、できれば海外にも広げていきたいという想いを語りました。
事業承継と経営方針|父との意見の違いと、社員とともに進む経営への想い
先代である父から会社を引き継いだときの心境について尋ねると、白木社長は次のように答えました。
「無我夢中でしたね」
2023年、新型コロナウイルスの影響を経て、消費を含む社会の状況が変化する中、今後どうなっていくのかという不安があったといいます。
特に、時代が急速に変化する中で、先代の考え方のままでは厳しくなるのではないかと感じ、危機感を抱いていました。
先代の父は、長年にわたり自ら会社を引っ張ってきた経営者です。
一方で白木社長は、自分には父のようなカリスマ性はないと話します。
そこで目指しているのが、社員と一緒になって会社を盛り立てていく経営です。
自分一人が先頭に立って引っ張るというよりも、社員たちにみこしで担がれるような存在になりたいと語りました。
もちろん、父との経営方針の違いから、衝突することもあったといいます。
長年会社を築いてきた父には、自分がここまでやってきたという自負があります。一方、白木社長自身も、父が築いた事業の中で仕事をしてきた立場です。
意見が対立した際、簡単に話がまとまるわけではないことも率直に明かしました。
先代との考え方の違いや、会社を引き継ぐことの難しさに触れながら、白木社長は自分が目指す経営のあり方について語ってくださいました。
学生へのメッセージ|「やってみないと分からない」失敗を恐れず挑戦する大切さ
インタビューの終盤では、学生や若い世代に向けて、挑戦することの大切さを語っていただきました。
白木社長は、50歳でできることと、21歳や22歳でできることは違うと話します。
自身も若い頃には、年上の人から同じようなことを言われ、その意味が分からなかったそうです。しかし、今では当時言われたことの意味が分かるようになったと振り返ります。
若い時期にしかできないことは、失敗を恐れずに経験してほしい。
失敗したとしても、その経験が将来の糧になるという考え方です。
また、就職活動や仕事選びについても、印象的な話がありました。
希望する部署への配属を重視する学生がいる一方で、白木社長は、実際に仕事をしてみなければ自分に合っているかどうかは分からないと語ります。
希望して入った部署でも、働いてみると違うと感じるかもしれません。反対に、希望していなかった部署が自分に合っている可能性もあります。
「でも やってみないと分からないのです」
最初から正解を求めすぎるのではなく、一歩踏み出してみることが大切だという考え方です。
さらに、若いうちに経験しておいた方がよいこととして、海外へ行くことや、人との交流を挙げました。
特に人との交流については、飲み歩くことにも触れ、人が本音を見せる場でさまざまなことを学べるという自身の考えを語っています。
また、将来経営者を目指す学生には、国内だけでなく海外にも視野を広げてほしいと呼びかけました。
海外からさまざまな産業が日本に入ってきている中で、日本の側からも海外へ出ていけるように頑張ってほしいと考えています。
自分にできるかどうかを考えるだけでなく、まず行動してみる。
それが、白木社長が学生に伝えたいメッセージの一つです。
まとめ
白木社長へのインタビューからは、染色技術へのこだわり、海外経験を通じて得た視野、そして社員とともに進む経営への考え方が見えてきました。
中でも印象的なのは、挑戦する前から正解を求めすぎないという姿勢です。
就職活動や将来の選択に迷う学生にとって、実際に経験してみることで分かることがあるという言葉は、一歩踏み出すきっかけになるのではないでしょうか。
ぜひインタビュー動画でも、白木社長ご本人の言葉を聞いてみてください。
最後に
今回のインタビューでは、ヘアカラーの色づくりという専門的な仕事から、事業承継の難しさ、若者へのメッセージまで、幅広いお話を伺うことができました。
特に、希望していた仕事でも実際にやってみなければ分からないという考え方が印象に残りました。
白木社長、貴重なお話をいただき、ありがとうございました!
株式会社スタッフスの詳細についてはこちら!
↓ ↓ ↓
会社概要
会社名: 株式会社スタッフス
所在地: 〒491-0201 愛知県一宮市奥町蘇東55
代表者: 白木 孝明
設立: 1975年
事業内容: ヘアカラーツール事業、流通加工事業、ビューティ事業
公式サイト: https://www.staffs.co.jp/
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