「働きがいの本質」を問い直す──株式会社縁・本田正和社長が語る、未来にワクワクできる組織づくり
みなさんこんにちは!
今回は、人材採用支援の分野で活躍する株式会社縁の本田社長にお話を伺いました。
前半では、幼少期の経験や留学を通じて生まれた「人の役に立ちたい」という原点と、平坦な人生に変化をつけて創業に踏み切った背景について。後半では、「働きがいの創出」に向き合う現在の事業や、採用・育成に込めた経営哲学、そして若者へのメッセージをお届けします。
ぜひ、動画で本田社長のリアルな言葉をチェックしてみてください。
目次
本田社長のプロフィール
本田 正和(ほんだ まさかず)
神奈川県川崎市出身。
幼少期は、バブル崩壊の影響で両親が多額の借金を抱え、家族は日本とフィリピンに離れて暮らすことになりました。親戚の家を転々としながらフィリピンで過ごし、日本に戻ってからは、日本語がうまく話せなかったことやクォーターであることを理由に、学校でいじめを受けるなど、強い孤独と疎外感の中で育ちます。獣医を志すも経済的な事情から奨学金が下りず、進学を断念し、自身の出自を頼って海外へ留学。親戚の家にホームステイをしながら大学に通い、多様な国籍・文化の人々と関わる中で、相手を理解し、自分を俯瞰する視点を身につけました。
帰国後、2011年に個人事業としてイベント事業で起業。その後、株式会社リクルートで広告営業を担当し、別企業でセールスマネージャー兼採用責任者を務めた後、2022年に株式会社縁を設立し、代表取締役に就任しました。
インタビューで見えた本田社長の経営哲学
起業・経営者を志したきっかけ
本田社長の原点には、「自分は必要とされていないのではないか」という強い孤独感があります。幼少期、家族は経済的な事情で離ればなれになり、本人も親戚の家を転々としながらフィリピンで暮らしました。まだ多様性が今ほど浸透していない時代、日本に戻り小学校に入学した際には、日本語がうまく話せず、机を廊下に出され、「国に帰れ」「外国人」と言われるなど、長くいじめを受けたといいます。両親は共働きで、平日はほとんど顔を合わせることがなく、いじめを相談できる大人もいない状況でした。
そうした環境の中で、「今日この瞬間に自分がいなくなっても、すぐには誰も気づかないのではないか」と感じるほど、虚無感と疎外感が募っていきました。この経験がきっかけとなり、「人の役に立ちたい」「人から必要とされたい」という思いに強くこだわるようになり、同時に「役に立てない自分には存在意義がない」と感じてしまうほど、自己肯定感を失っていたと振り返ります。
その後、留学先では多様な価値観や文化に触れ、「自分の当たり前は、必ずしも相手の当たり前ではない」と実感しました。言葉や文化の違いの中で、「自分がどう伝えたいか」ではなく「相手にどう伝わるか」を考えるようになり、相手を理解しようとする姿勢が、自分自身を俯瞰する“自己対話”へとつながっていきました。こうした経験が、人生を変えたいという想いを強め、創業という選択を後押しすることになりました。
経営者としての挑戦と組織改革
本田社長が強く問題意識を持っていたのは、「企業と個人の関係性が、採用の場面で歪んでしまっている」という点でした。求人が少なかった時代には、学生や転職希望者が企業に合わせ、本音ではなく「企業が求めていそうな言葉」を並べてしまう。反対に、現在のように人手不足が続く環境では、企業側が人に「媚びる」ような採用を行い、耳触りの良い条件やキャリアの約束を並べてしまう傾向があります。
その結果、入社後にお互いの本音が表に出た時、「聞いていた話と違う」「そんなはずではなかった」という“逆サプライズ”が起こり、早期退職やキャリアの見直しにつながってしまう。この構造こそが、多くの人が働きがいを失ってしまう根本原因の一つだと、本田社長は指摘します。
そこで本田社長が大切にしているのが、「今何をしてほしいか」ではなく、「数年後、あるいはもっと先に実現したい未来に、隣にいてほしい人かどうか」という視点です。採用においては、目先のスキルや即戦力性だけを見るのではなく、「その未来を一緒に喜び合えるか」「その過程を共に歩みたいと思えるか」を重視しています。
育成においても同様に、「この未来を実現するために何が必要か」を一緒に考え、「だからこそ、この力を身につけていこう」という対話を重ねることを心がけているといいます。こうした姿勢は、社員を一方的に評価するのではなく、「未来を共有するパートナー」として向き合う経営スタイルにつながっています。
現在の事業と未来への展望
現在、株式会社縁が展開しているのが、採用支援サービス「エンリク(エンゲージメントリクルーティング)」です。いわゆるRPO(採用代行)の領域で、企業に代わって採用活動を支援しながら、候補者と企業が本音で向き合える採用プロセスを整えることに取り組んでいます。
本田社長が重視しているのは、「働きがいの創出」という社会課題です。バブル崩壊以降、長く景気の低迷が続き、「終身雇用」や「年功序列」といった“約束された未来”が揺らぐ中で、多くの人が「全力を注いでも、未来につながらないのではないか」という漠然とした不安を抱えています。こうした先行きの見えにくさが影響し、思い切って挑戦することが難しくなる空気が広がっているといいます。
本田社長は、働きがいの本質を「将来こうなりたい」「このことに夢中になりたい」と思える強い想いと、それに向かって努力する過程にあると捉えています。そのゴールは、経営者や管理職だけではなく、子育てをする親として、あるいは専門職として、自分なりの役割を全うする姿でもよいと語ります。
株式会社縁としては、一人ひとりの過去や背景を大切にしながら、「今」と「これから」をつなげる“縁”を紡ぎ、働きがいのある組織とキャリアの実現に貢献していくことを目指しています。
若者へのメッセージ
本田社長は、学生起業について語る際に、まず「型破り」と「型なし」の違いを強調します。“型破り”とは、基本的なお作法や原理原則を理解した上で枠を超えることであり、何も知らないまま自己流で進めてしまうことは、ただ失敗の確率を高めてしまう“型なし”になりかねないといいます。
学生起業のメリットは、失敗を通じて自分で考える力が鍛えられること、そして未来に賭けてくれる応援者や投資家が集まりやすい点にあります。一方で、扱える資本規模が限られるため、大きな資本を動かす企業で経験を積む場合と比べ、得られる情報量や経験値には差が生まれる可能性があるとも語ります。
しかし、企業に入って経験を積む道にも当然メリットがあります。重要なのは、どちらが“正しい”という話ではなく、自分がどんな未来を描き、そのためにどんな経験が必要なのかを基準に選ぶことだと本田社長は語ります。
「目的・手段・時期を冷静に見極め、自分がどう生きたいのかを軸に決断してほしい」。これが、社長が若者に向けて届けたメッセージでした。
まとめ
本田社長の経営哲学は、「働きがいの本質」とは、“将来こうなりたい” “夢中になれる”という想いに根ざしているという価値観にあります。人の過去を否定せず、その人が描く未来に向けて必要な経験や力を一緒に考えていく――。採用や育成においても、本人と企業が「実現したい未来」を共有し、伴走する姿勢が印象的でした。働きがいやキャリアに悩む学生や若手社会人にとっても、「挑戦しないまま終わらないこと」「自分なりの豊かさを見つけること」は、大切なヒントになるはずです。ぜひ、動画で本田社長の言葉に触れてみてください。
インタビュー動画
前半動画
後半動画
最後に
インタビューを通じて印象的だったのは、「平坦な人生に変化をつけたくて創業した」という率直な言葉と、「実現したい未来に、隣にいてほしい人を採用する」という採用観です。過去の痛みを否定するのではなく、そこから生まれた価値観を事業として形にしようとしている姿勢に、強い一貫性を感じました。
これから社会に出る私たちにとって、「何をするか」だけでなく、「どんな未来を誰とつくりたいか」を考えるきっかけを与えてくれるインタビューでした。貴重なお話をありがとうございました!
株式会社縁の詳細についてはこちら!
↓ ↓ ↓
会社概要
会社名:株式会社縁
所在地:東京都渋谷区円山町6-7 渋谷アムフラット105号
代表者:本田 正和
設立年:2022年6月
事業内容:月額制採用コンサルサービス「TACHiAGE」運営、問合せフォーム営業代行サービス「APOL」運営
URL:https://enishi-inc.co.jp/
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